07MC

1.はじめに

その見た目から96MCと同じ括りにされることが多く、あまり知られていないボディが存在します。2007年12月に登場した07MCです。

小湊鉄道 PDG-RM820GAN+B(07MC)


この07MCは先述の通り、2007年12月から販売開始となったUDのスペースランナーRM/JPと、そのOEMモデルである三菱ふそうエアロミディS、そして2009年までシャーシ供給を行っていたいすゞ自動車のPDG-LR234J2に採用されました。RM,JP/AR,AJは全国で見ることができますが、LRは九州のごく一部で採用されるのみです。

ボディはB型とF型の二種類が用意され、LR以外では自家用向けにツーステ標準床の設定もありました。また、PB-RMでは存在していたB型の標準床はなくなっています。

LRでの製造数は分かりませんが、スペースランナーとエアロミディS合わせて412台が納入されています。


2.解説

西日本車体工業では、親会社である西日本鉄道100周年に合わせてフルモデルチェンジを計画し、スマートループ登場と同時にお披露目となる予定だったようですが、設計まで出来上がっていたものの様々な理由により見送られ製法を見直した新ボディを"中型"のみで展開することとなりました。これはデザインこそ96MCから大きな変化はないものの、完全な新規設計車体であり似て非なるものです。車体部品の一部に中国製を採用するなど省コスト化も図られています。

本項では96MCと07MCではどのように変化しているのか、B型を例に解説していきます。



07MC最大の特徴は黒い雨樋で、従来のボディでは車体と一体となっていたものを独立した部品へと変更され、腐食対策を行っています。

左が96MCで右が07MCです。

車体から出ているㅓ型の雨樋から」型に改められており、取り付け方法が異なっています。またよく見ていただくとわかりますが少し深くなっています。

加えて前ドア上の処理も変わっており、斜めの部分だけが管になっており雨水が確実に下へ流れるような構造になりました。また、幕板と車体の接合部処理方法が変わっています。これも腐食対策の一つではないかと推察されます。

違いは他にもあります。96MCは屋根の板を1枚にすることで雨漏り対策を行っていたようですが、07MCでは寸法が見直され、屋根と車体の接合部が下に下がっています。そうなれば当然雨樋の位置も下に下がってくるので少し屋根が厚く見えます。また、扉上の角についているRが大きくなっているのも特徴です。

中扉も同様に上辺の角についているRが大きくなっています。ボディ剛性の上げるための補強ではないかと思います。


変更点はまだまだあります。07MCで最も注目すべき点は窓です。58MC登場以来ほとんど変化しなかった窓構造がここへ来て一新されています。逆T字窓の場合引違い部の天地寸法が少し大きくなり、この部分の窓はサッシレス化されました。加えて引違い部の下にあるサッシは中にハーネスが通せるように改められ少し太くなっています。窓構造で先進的だった西工も長年同じ設計を使い続けていたことでこの部分のサッシレス化は遅れ、国産の車体としては最後の採用となりました。ただしT字窓やメトロ窓ではサッシ式となります。

日デ系では、なぜか中型だけ遅れていた側面最後部窓と戸袋窓の接着窓化も同時に行われました。

フロントの左右についているターンシグナルの台座も変わりました。車体の隆起にはめ込んで、ゴムで隙間を埋める構造から、台座そのものがゴム製に変わっています。ちなみにこの台座は07MC登場とほぼ同時に大型の96MC系でも採用されています。


日デ系の話になりますがリアスタイルが大きく変化しています。

というのも07MCが架装する日デ系シャーシは、吸排気系統を含め機関が三菱ふそう製になっています。簡単に言えばエンジンルームの中身がエアロミディなわけです。その為リアガラスより下は三菱ふそうのエアロミディがくっついているのも同然な構造になっています。
比較対象は日野エンジンの日デPB-RM360GANですが、リアフラッシャーもシビリアンテールとい言われる市光7452からゴールドキングTSL-2Rを横に並べたものに変わっており日デらしからぬ見た目です。


いすゞのLR系は07MCでPDG-LRへと変わりましたが、もともとJBUSに合わせたデザインになっていたので変化はありません。


3.おわりに

如何でしたでしょうか?製造開始から会社解散まで2年と半年ほどしか製造されていませんが、西工最後のモデルである07MCは西工が持つ技術力の集大成として確かな事績を残しています。UD系では412台の納入であり、いすゞを含めても500台には満たない数ではありますが、全国各地に納入され現在も活躍する07MCを少しでも興味を持って知っていただければ幸いです。

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