UA45系とRA27系のボデー

1996年の96MC登場からUAは富士重工製R17型ボディと西日本車体工業製の96MC系ボディの二種類が用意され、どちらか一方を選択することができました。2003年に富士重工がバス事業から撤退すると西日本車体工業に一本化され、その後UDのバス事業撤退まで続きます。

2004年にはRA273系が登場し、路線型は全てスペースランナーに統合されると同時に96MCはボディの設計が見直されています。今回は様々な架装例とともに、UA系とRA系の車体ではどのような違いが生まれているのかをご紹介します。
なお、予め断っておきますが記事の中に前面表示機がフロントの上部にはないE型が登場しますが、今回の題材ではE型とB型での違いはないので無視できるものです。


▲KL-UA452MAN+E-II(96MC)

上の写真はUA45系を架装した96MCのE-IIです。小湊鐵道の場合前扉が狭幅になり座席列が1列多い仕様になっていますが、今回の話とは関係ありません。

▲PDG-RA273PAN+E-II(96MC)

続いてこちらはRA27系を架装した96MCのE-IIです。上欄のUA45系と同じE-IIの車体ですが、様々な違いがあります。なお、こちらはクーラーが屋根の上にありますが今回はあまり関係ありません。


この二枚の写真で説明できるUAとRAの違いについては、まず側面の車体裾部分についているリフレクター(反射材)の有無になります。2005年頃に灯火規制が強化され、車体にリフレクターが必要となりました。このリフレクターがついている場合はRAになります。ちなみに、灯火規制はバスの型式とは関係なく、製造年で適用されるので2007年までKL-UAで販売されたCNG車にもついています。ただし、CNG車のRAは存在ないことや後述する点でRAとは異なる部分が多いため騙されることはないでしょう。

この灯火規制というワードはこの記事中に何度か登場しますが、車両の灯火類に使えるライトの色や配置にどについて細かく決められた保安基準のことです。詳しく知りたい方は検索してみてください。

RAとUAを並べた写真です。この写真の左側がRA、右がUAです。

こちらも灯火規制によりバンパーに収まっているライトの配置が少し変わっています。フォグランプとコーナリングランプが隣り合っていたUAとは異なり、RAでは少し外側に移動しています。

横から見るとこんな感じです。フォグランプのレンズが透明に変わっているのも灯火規制の影響ですが、ライト自体は黄色っぽい色になります。


車体の違いは他にもあります。この写真では左がUA,右がRAです。

側面窓の一番後ろがサッシ窓から接着窓に変更され、開けられないようになりました。比較対象が都営なので、ちょっと分かりづらいですが。。。
また、それに関連してガラスの後ろについていたガーニッシュが廃止されています。これもUAとRAを見分けるポイントの1つです。ただし例外があります。(後述)


まだまだあります。 左がUA,右がRAです。
中扉が引戸の場合、扉の左側にある戸袋窓がサッシ式のはめ込み窓から側面ガラスと同じ天地寸法の接着窓に変わりスッキリした印象に変わります。ただし東京都交通局や呉市交通局など一部の事業者ではUAでも特注で接着窓にしているところもあるためあまり信用になりません。また四枚折戸や折戸、トップドア車などはなにも関係がありません。


ここまで紹介してきたUAとRAの差は、灯火規制に関係する変更や96MCの設計見直しによるもので実はシャーシとあまり関係がなく、2005年以降も西工が選択できたいすゞのLVとも共通します。要するに上記の違いはUAとRAを見分けることの他、LV280/380系とLV234系を識別することにも使える知識ということになります。


本題はここから。UAとRAの違いはいくつかありますが、パット見でわかるものを紹介していきます。

左がUA,右がRAです。シャーシの変更により、タイヤハウスの形状が変わっています。

UAのアーチホイールは釣鐘型なのに対し、RAは真円型へ変わっているのです。例え2005年以降のCNG車であってもUAなら釣鐘型になります。(後述)

左がUA,右がRAです。UAの影に隠れて見づらいですが、扉側にはなかったルーバーが現れます。UAでは非常口側にあった田の字型ルーバーが、RAでは扉側にも設置され両サイドに同じ形のルーバーが設けられています。また、尿素SCRという排気ガス浄化システムに使うAdBlue液を注入するための注入口があり、給油口とは関係ない位置に蓋が1つあるのもRAの特徴です。ただしこの蓋は事業者や車体形状により位置が異なります。


まだあります。この写真では1番左以外RAです。灯火規制により、リアフラッシャーの位置を下げなければならず、RA販売開始から2007年までは市光7452といういわゆるシビリアンテールと呼ばれるやつに固定されました。UAではレシップかゴールドキングかなど幾つかのメーカーを選択することができましたが、RAではこの市光で固定となります。

このシビリアンテールには整備上いくつかの問題があり、市場からの要望によって2007年の途中から四角いライトを縦に並べただけの配置へと変わりました。メーカーが選べたのか定かではありませんが、基本的にゴールドキング製のTSL-2Rという汎用品で、エルガなどにも使われているものです。

注意すべき点はシビリアンテールの年代で、CNGのUAにも採用されています。灯火規制は型式に関係なく年式で適用されるためなのですが、先述したように側面窓の後ろがUAのままであることや、RAにはCNG車がいないということをしっかり抑えていれば惑わされることもありません。


他にも幾つか違いはあり、その例としてはクーラーの形状が変わることなのですがビルトインクーラーなども存在するため省略しています。


上記の内容を踏まえた上で、CNGのUAを紹介します。

こちらはかつて西武バスに在籍していた2006年式のKL-UA452KAN改です。灯火規制に対応するため、RAで使われるバンパーがついている他、車体側面にリフレクターが設けられています。ただし、クーラーが従来型であることや、戸袋窓がサッシ式のはめ込み窓であること。側面窓最後部にガーニッシュがついているなど、灯火規制に適合していること以外は完全にUAと同じです。

リア側です。リアを真正面から見ると一瞬RAと見間違えてしまいます。それもそのはず、灯火規制によりリアフラッシャーがシビリアンテールになっているからです。そんな仕様でもちょっと横を見れば解決。RAでは非常口後方の窓を開けることができず、ガーニッシュもありません。これがついている限りUA452なのです。


ただしそんな常識をも覆してしまうのが西工の奥深さといえます。

こちらは日本交通がガス会社の送迎用で2台保有するCNGのKL-UA452KAN改です。

なんということでしょう。側面窓最後部が接着式窓に変更されています。リア側の写真が用意できませんでしたが、非常口後方の窓も同様に接着式窓になっており、リアフラッシャーもシビリアンテールなのです。更には2007年以降に採用された、ドア角のゴムまでついている始末。これは完全にRAだろ!!と思ってしまいます。ですがこれもUAです。後部の窓は接着式に改められたものの、戸袋窓だけはサッシ式のままになっています。これは配管を通す関係で1番窓と2番窓の間に柱があり、その関係で前の窓も全てサッシ式窓になっているため合わせる必要がないからだと思われます。また、先述したとおりUAなら絶対にアーチホイールが釣鐘型となるため、限りなくRAに近い姿をしながらもUAであることを主張しているのです。



如何でしたでしょうか。

灯火規制や車体設計の見直しはいすゞLVでも使える知識です。UAとRAにはそれぞれシャーシ固有の違いがあり、それを覚えておけば街中を走るUDのバスもバッチリ識別することができるはずです。今回紹介したUAは全てUA452ですが、ターボ用ルーバーの有無以外はUA460系でも同じになります。

この記事が皆さんのバス趣味に少しでも役に立てれば幸いです。

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