1台限りのV8

日産ディーゼルが1995年から2000年にかけて販売した平成6年排気ガス規制適合のUA521系はV8エンジンであるRF8型を搭載した高出力車です。販売数はそれほど多くなく、40台あるかないか程度ですが、ほとんどが富士重工のR17型(7E,8E)で西工製がいるという話はほとんど聴きません。というのも、実はUA521系を架装した西工車はこの世に3台しか存在しておらず、その内2台は医療防疫車や移動教室車など特殊なものであるためです。では残りの1台はなんなのか。それが本項で紹介する車両です。

KC-UA521NAN改+B-I(96MC) 1998年式


こちらは国立高専が所有するクルマです。先述の医療防疫車や移動教室車はS型を架装していますが、こちらはB型になります。3台いる西工製UA521で唯一B型を架装した例というわけです。

このクルマは1つ不思議なことがあります。UA521はほぼN尺であり、一応L尺T尺の設定はありますがほとんど製造されていません。しかしこのクルマはL尺にしても短いわけです。実はN尺をベースにホイールベースをH尺相当に短縮した特注車になります。普段何に使っているのか定かではありませんが、高速道路などで移動することを想定しつつも短尺でないと都合が悪いという事情があったものと推察されます。

ちなみに西工が製造したUA521で最後のクルマがこれです。要するにUA521+西工の組み合わせでは"まともなクルマ"は1台も存在していません。


公式側から見るとタイヤハウス後ろのパネルが1枚だけ天地寸法の大きいものになっています。これはデンソーのサブエンジンクーラーがついているためで、わかりづらいですが1番窓と2番窓の間に車内をダクトが通っています。

側面一番うしろのパネルは普通のUAだと一直線に並びますがここも開閉部が高くなっており、どちらかと言えばふそうシャーシに近い見た目です。


非公式側です。普通のUAとは明らかに異なるルーバーとちょっと短いリアオーバーハングがV8エンジンを搭載していることを物語っています。細かい点だとマフラーの位置も違うのでバンパーの切り欠きが少し真ん中に寄っています。

フロントのタイヤハウス直後にあるルーバーはサブエンジン式クーラーがある証拠。

前後共にマーカーランプをつけているのがなんとも自家用らしいところです。側面窓は拡大サイズの銀サッシメトロ窓で、運転席窓は標準を選択しています。


学校所有ですが、定期運行のスクールバスがある訳ではなく、長距離の移動用として運用されているようです。具体的に何に使っているのか定かではなく確実に捉えられる機会は年に1回か2回ある程度。同じ仕様のクルマは存在しないので、撮影するならツチノコ探し程度の気合は必要です。

西日本車体資料館

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