B型のタイプII 関東自動車編

日デ中型ロングのJPシリーズには様々なボデーバリエーションが用意されていましたが、その中でも当時の京王帝都電鉄へ納入されたB型は異彩を放っていました。

これはB型に日デオリジナルスタイル(西工SR)のバンパーをつけたもので、マニアの間では「京王顔」と呼ばれ親しまれているものです。正式な名称は58MC「Bスタイル タイプII」


当初、京王帝都電鉄向けの専用仕様でしたが、後にカタログに掲載され他社でも選択可能となり、京王以外では1996年に大阪の水間鉄道と大川自動車。1997年(96年度)に横浜市交通局がKC-JPで納入されています。また、中型のRMでもごく少数納入されており、神戸電鉄(当時)と大阪市交通局が該当します。

余談ですが、当時の京王は製造メーカーに対し一定の影響力を有していたようで、この京王顔以外にも富士重工R18型E(8E)で通常よりも丸みを帯びたフロントマスクになっているものや、「チョロQ」で親しまれる日デのRNも京王からの注文によるものです。


西日本鉄道が電車代替バス用としてU-JM210GTNをストレッチして製造していたものを1993年スペースランナーJPとして日産ディーゼルから正式に販売が開始されてから2年後、1995年に京王顔は初めてその姿を現しました。 当時首都圏では初めてとなる中型ロングとして納入されました。 そしてこれは西工製バスが本格的に首都圏へ進出する契機となりました。(西工製バス自体はP-RB80Gが横浜市交通局に納入された実績を持つ)

また、日デから正式に販売されることとなり、富士重工のR18型E(8E)が選択できるようになったことから、ヒットセラーとなり排気ガス規制強化によってモデルチェンジしたKC-JPでは納入先のおよそ8割が首都圏事業者となりました。


さて、この「京王顔」であるB型タイプIIは先述の通り58MCであり、横浜市交通局の例を除いてすべて1996年以前の製造であるため、当然経年により代替されています。 今でこそ京王中古はそこら中溢れかえっていますが、当時はそれほど出回ることもなく特に全体数の少ない西工製は国内移籍と輸出が半々とあまり多くありません。 KC-JPに至ってはすべて輸出か解体処分となっています。また、大阪の水間鉄道と大川自動車に在籍していたタイプIIも輸出されており、現存車の希少性がお分かりいただけるかと思います。


そんな中、栃木県に本拠地を置く関東自動車では西工富士ともに京王及び横浜市から多数が移籍している貴重な例であり、かつ本家京王の西工U-JPとしては国内に残存する個体すべてが集約されている事業者になります。 本項ではその「京王顔」を大まかなバリエーションとして3台を紹介するとしましょう。

U-JP211NTN+B(58MC) 1995年式 元京王バス49502

こちらは京王バスからの移籍車です。フォグランプを省略する一方でフロントだけマーカーランプをつけているあたり如何にも京王といったところ。中扉にスロープがあるのでバリアフリー塗装で登場しました。

このクルマは京王時代に均一区で運用されていたことから「前乗り後ろ降り」のため側面表示機が前ドア直後に設置されており、「前乗り前降り」である同社の事情によくマッチした仕様といえます。

U-JP211NTN+B(58MC) 1995年式 元京王バス49511

上欄と同じく京王バスからの移籍車です。こちらは表示機が中扉直前にある仕様です。U-JPでは2台存在していた調布配置のクルマで、一見「後乗り」の多区間車のように見えますが「前乗り」の均一車です。関東自動車にはこれ1台のみ存在。


京王では1996年にKC-JPでタイプIIが数台導入されていますが、そちらは先述の通り国内移籍を果たした個体がなく、全て輸出及び解体処分となっています。8Eと96MCは移籍例があるのですが。。。。


KC-JP250NTN+B(58MC) 1997年式 元横浜市交通局6-4484

こちらは横浜市交通局からの移籍車です。京王との大きな違いはフォグランプがある代わりにマーカーがないこととミラーステーの形状、前扉上に蛍光灯カバーがあることくらいでしょうか。

こちらも複数移籍してきています。96年度入札での納入で横浜市交通局の同型車はすべて1997年1月製造となります。そのため、前面方向幕板のプレス型が96MCと同じものになっている合いの子です。詳細は後述。

リア側です。 リアに回ってもホントに58MCなのか怪しく感じるのは西鉄や京王のKC-JPがエバポレーター後部搭載なので同じような外見になるから。 リアバンパーがなんとか58MCであることを証明しています。これはちょっと太いタイプです。京王からの移籍車はもう少し細いものがついています。


左が京王 右が横浜市営です。 正面から見ても識別できるのはマニアへの優しさ(?)

さて、横浜市営からの移籍車は前述の通り幕板の形状が96MCと同じです。 この画像でもなくとなく形が違うんじゃないか、くらいはお分かりいただけると思います。


拡大して見ればよく分かると思います。上が横浜市営です。
全体的に丸みを帯びた形状へと変更されており、縁が少し太くなっている感じです。角にRがついているので角が分かりやすいと思います。

別の角度から。両端の処理が異なっており、96MCでは面取をしたような形状になっています。

これは58MCと96MCの違いで、大型でも同じことになります。もし高い壁があって頭しか見えない状況になっても幕板で58MCと96MCを識別することが可能です。(そんなシーンはないと思いますが)


この手のクルマは段々部品が入手しづらくなってきているようで、関東自動車では徐々に代替が進められおり、現在は7台に減少しています。

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