壱岐交通

九州の玄関口とも言われる福岡県からジェットフォイルで1時間少々進んだ先にある長崎県壱岐島。九州と対馬の中間に位置する壱岐島は「古事記」にも記載されているとされ、別称では天比登都柱(あめひとつばしら)として知られています。その壱岐島では人口26,000人ほど住む本島において必要不可欠な交通機関はやはりバスです。壱岐市郷ノ浦町に本社を構える壱岐交通は本島唯一の路線バスの事業者でございます。使用車両は主に日野、三菱ふそうが占めており近年ではUDの導入もされております。離島ならではのトップドアで補助席付きの島内貸切兼用車両が主流で、特に郷ノ浦~芦辺/勝本/瀬戸/印通寺など島内重要地区循環路線においては力を発揮され重宝されています。

今回はその中でも西工車体との組み合わせで購入されている日野車と中古導入した日デをピックアップして紹介して参りたいと思います。なお、訪問以前に勇退された車両についてはご紹介が出来ませんので、予めご了承ください。



──1990年式──
該当車:長崎22く140・141・147・148

1990年晩年に導入されたグループでHU2MLAとなりました。エアサス仕様の短尺標準床TS車でトップドア仕様を引き続き採用されており、HU233Bとは殆ど仕様に変わりはないように見受けられます。小糸製丸型ハロゲンH4系前照灯とフォグが標準装備です。前扉は狭幅折戸で側面窓はブロンズ仕立てのメトロ窓標準サイズを採用し、運転席横窓は標準サイズが嵌め込まれています。冷房はサブエンジン式が搭載され、ダクトやパネルからデンソーが採用されています。後部窓は三分割を嵌め込みリアフラッシャーはレシップSFL-9000を三連仕立てにして装備しています。



──1992年式──
該当車:長崎22く154・155

1992年にも購入されたHU2MLAの2台です。小糸製丸型ハロゲンH4系前照灯やフォグが引き続き標準装備で仕様は変更なくエアサス仕様の短尺標準床でサブエンジン式の冷房を搭載し、ダクト形状やパネルからデンソーが引き続き採用されています。西工ではサブエンジン式を選択されるとスペース確保によりWB間の車体裾が延長されている関係で腰高な印象を与えています。なお1992年式導入を最後にサブエンジン式での導入は終了されました。前扉は引き続き狭幅を選択し、側面窓はブロンズ仕立ての標準メトロ窓が採用されています。後部窓は三分割仕様でリアフラッシャーは引き続きレシップSFL-9000を三連仕立てで装備しています。因みに154は2016年の除籍対象でしたが、変更されて155が廃車されることになりました。154は現在車体更生を施工した関係でエンジンルーバが標準より異なるスタイルになりました。



──1993年式──
該当車:長崎22く157・162

1993年に登場したHU2MLAの2台です。ここからサブエンジン式が廃止され直結型が搭載されるようになり、メーカーは引き続きデンソーを一貫して選択されています。直結型になることでWB間の車体裾が一般スタイルになりました。またFOHも標準になり前扉は引き続き狭幅折戸のトップドア仕様を選択されています。標準仕様の小糸製丸型ハロゲンH4系前照灯やフォグを装備したエアサス仕様の短尺車で、側面窓は標準サイズを廃止してブロンズ仕立ての拡大メトロ窓を採用するなど見栄えが一新されているのが特徴的です。

1992年式(標準メトロ窓)と1993年式(拡大メトロ窓)の比較



──1995年式──
該当車:166

1995年に導入されたHU2MLAで1台のみ購入され、壱岐交通では166購入以降購入されなくなります。小糸製丸型ハロゲンH4系前照灯や丸型フォグを標準装備したエアサス仕様のツーステップ標準床短尺車で引き続きトップドアを選択した貸切兼用仕様です。側面窓はブロンズ仕立ての拡大メトロ窓で運転席横窓は標準サイズが嵌め込まれています。冷房は1993年式に引き続いてデンソー直結が選択されています。166は車体更生を施工した関係でエンジンルーバが標準より異なるスタイルになっています。因みにフロントナンバー上に設置されている広告枠は頑丈に車体に打ち込み固定化されているようで、広告を外すとどうしても跡が残り見劣りしてしまいますね。



日産ディーゼル

──1992年式──
該当車:長崎227か110

2015年頃に導入されたJM210GSNです。板バネワンステップ仕様の標準床でJMはただ1台だけ購入されています。この車両は元々ハウステンボス構内車両として使用されていた車両で昭和自動車が2000年頃に中古導入しました。福岡200か351(福岡営→前原営)→佐賀200か576(伊万里営)→長崎227か110



──1993年式──
該当車:長崎227か50

2010年末に西鉄観光(北九州支社)が車両編成の見直しを行った際に押し出しとして売却された車両の1台です。西工92MCのC-Iスタイルで1番窓が固定化された標準T字窓を採用しています。またFOHが延長されていないRA520TBNで西鉄では1994年式からRA520RBNへ変更されました。



──1994年式──
該当車:長崎227か52
こちらも2010年末に西鉄観光(北九州支社)が車両編成の見直しの際に押し出しされた車両の1台で6945で使用されていた車両で大型9m車のC-IでT字窓が選択されています。またこのタイプはコーナリングランプが設けられた後期車で、トランク容量の観点からサブエンジンから直結型に変更されている仕様です。



──1995年式──
該当車:長崎227か51
こちらも2010年末の西鉄観光(北九州支社)が車両編成の見直しの際に売却された車両で2011年に中古導入されました。5068で使用されていた車両でサブエンジン式から直結型に変更されているスタイルになります。


西工58MCは年々自動車事業者から姿を消していく光景が多くとても残念な現状であり、壱岐交通においても置き換えが進んでいくと思われます。いまだ活躍を続けていく車両を記録していく大事さが心身ともに痛感させられる良い機会となったと感じております。


[車両一覧]
147 U-HU2MLAA-90年式 2016.04月解体
148 U-HU2MLAA-90年式 2016.02月解体
154 U-HU2MLAA-92年式
155 U-HU2MLAA-92年式 2016.11月解体
157 U-HU2MLAA-93年式
162 U-HU2MLAA-93年式
166 U-HU2MLAA-95年式
110 U-JM210GSN-92年式 
050 U-RA520TBN-93年式
051 U-RP210FBN-94年式
052 U-RP210FBN-95年式

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