UDの中型路線バス

日産ディーゼル(以下:UD)の中型バスであるスペースランナーはRB,JM系とRM系で別れており、それぞれ西日本車体工業製と富士重工業製を架装していました。 1995年の排気ガス規制強化によりKC-世代へとシフトすると同時に路線バスはRMへ統合され、RMにも西工製が登場しました。

以降2003年3月の富士重工業撤退まではどちらかが選択できるようになり、富士重工業のバス事業撤退後は当然ながら西工一択となり最終型まで続きます。今回はワンステップでKK-RM以降を揃える、小湊鉄道で撮影する機会を得ることができましたのでボディの移り変わりと共に三世代のRMを紹介していきます。


KK-RM252GSN

1999年から販売開始になったKK-RM252系は富士重工製R18型E及びB(8E,8B)と西日本車体工業のB型96MC及び日デオリジナルの4ボディが選択可能であり、ツーステ,ワンステ,ノンステの床仕様が用意され、この内ノンステを除いてリーフサスかエアサスの設定がありました。加えてCNG燃料車がすべての床仕様で用意されており幅広いニーズに応えるラインナップを展開していました。

小湊鉄道では富士重工撤退後の2003年に導入しており、ご覧の通りB型を選択しています。

ゼクセルとデンソーの二種類が用意されているクーラーも小湊鉄道では最終型まで一貫してデンソーを選択しています。特筆すべき特徴というものは特になく、一般的な仕様に纏まっています。



PB-RM360GAN

2004年から販売開始となったRM360系はエンジンを日野自動車からの供給に変更され、日野のJ07E-TC型エンジンを搭載しています。公式側後部に縦2連のメッシュを設けているのが特徴です。また、灯火規制によりバンパー下部のフォグランプとコーナリングランプの配置が見直され、車体側面にリフレクターを設けているなど灯火機器に変更がなされており、同時にボディも設計変更がなされています。車体は96MCへ統一され、日デオリジナルスタイルは自家用向けとして新たに登場した96MCのF型に引き継ぐカタチで消滅しました。


小湊鉄道ではワンステのみ購入しており、登場時期の関係でドア横の角にゴムがついている仕様も存在しています。KK-RMとは給油口の向きが逆になっており公式側へと変更されています。クーラーはデンソーです。


PDG-RM820GAN

RM360系の販売終了から4ヶ月後の2007年12月から販売開始となったRM820系です。この型式最大の特徴は96MCのスタイルを継承しながらも製造方法などが見直された新ボディ07MCを架装とていることにあります。また、三菱ふそうとの相互OEM供給によりエンジンが三菱ふそう製6M60型となっています。これによりKK-RMより後のUDが販売する中型バスはすべて他社製エンジンを搭載することとなりました。エンジンルーバーが再び非公式側に移動したことで公式側後部にあったメッシュがなくなっています。


小湊鉄道ではワンステで導入しており、ふそうブランドのエアロミディSも同時に購入していることからRM,ARの両方が存在しています。これらは全く同じ仕様で購入されているため外見からの識別は不可能です。



KK-,PB-,PDG-,はそれぞれエンジンがUD,日野,三菱と別れていることは先述の通りですが、これに関連すること及び灯火規制など幾つかの理由からリアスタイルが3世代で全くことなっています。

上の画像は左からPDG-RM,PB-RM,KK-RMと並んでいます。リアスタイルがすべて異なっていることは一目瞭然です。KK-RM,PB-RMは同じ96MCでありながら構造が異なっており、PDG-RMは全く別のボディを架装しているため側面にも違いが出ているのをなんとなく察して頂けるかと思います。

KK-RMの特徴として、ワンステでは非常口後方の窓が大型の標準窓相当の大きさになっていることが上げられます。これは1世代前のKC-RMや同型式のノンステとは異なるものです。

真ん中のPB-RMではその特徴がなくなり側面窓の天地寸法が揃えられるようになりました。また、窓後ろの黒いパーツがなくなっており窓の後ろに少しスペースができています。

一番左のPDG-RMは07MCを架装しており、ボディの高さが少し低くなっています。側面窓は再び非常口後方の窓だけが若干小さくなる設計になりました。

非常口より後ろが見えるように撮影した写真です。手前からKK-RM,PB-RM,PDG-RMになります。

非常口後方にある窓の天地寸法が全て異なっているのがお分かり頂けると思います。また、PB-RMは日野エンジンを搭載しているためエンジンルーバーが公式側にあり、非公式側にはなにもありません。KK-RMやPDG-RMでは蓋がある部分は冷却風取入口?となるメッシュがついています。ご存知かとは思いますが、KK-RMについている細い縦長のメッシュはUDエンジンのターボ車である証です。

リアを正面から撮影した写真を並べたものです。左からPDG-RM,PB-RM,KK-RMになります。

KK-RMはリアガラスとエンジンルームのスペースが狭くターンシグナルとブレーキランプを縦置きできないため、横向きにして並べています。これはB型96MCならKC-RMでも同様で、鹿児島市や京都市など一部の納入先を除きすべてこのような配置になります。小湊ではゴールドキングのTSL-1を装備。

PB-RMは灯火規制に対応するカタチでリアフラッシャーが市光7452に統一されました。いわゆるシビリアンテールというやつです。これは大型のRA273でも採用され、2007年まで採用されていました。クーラーが非常口のある座席列真上にあるため少し背が高く見えます。

PDG-RMはふそうエンジンを搭載する関係でエンジンルームのハッチやリアバンパーはPA-MKのそれに近い形状デザインへと改められています。リアフラッシャーはゴールドキングTSL-2Rで、小湊ではハイマウントストップランプもつけています。

ちなみにリアスタイルは07MCすべてがこうなっているわけではなく、同じ07MCを架装するいすゞPDG-LRは全く異なるリアスタイルです。


公式側後部のタイヤハウスより後ろだけを写した写真を並べたものです。並び順は上欄と同じ。

角度が不揃いになってしまったので少しわかりづらいですが、PB-RMだけが非常口のある座席列の真上にあります。PDG-RMではリア車軸の真上にあるため、タイヤハウスより後ろだけを写すと見切れてしまいます。KK-RMでは中扉のある位置から少し後ろに搭載しているため当然写りません。

非公式側同様側面最後部の窓が全く異なっています。KK-RMでは窓の後ろに黒いパーツがついていますが、PB-RMではなくなっています。注目すべきはPDG-RMで、07MCは中扉より後ろの窓が3枚になることです。中扉より後ろに配置される2つの逆T窓は同じ大きさのものがついていますが、それではギリギリ後ろまで届かないので接着式の細い窓を入れています。余計にサッシの大きさを増やさないようにすることでコスト削減を狙ったものと推察されます。また、逆T窓の場合上の開けられる窓が少し大きくなり、この部分はサッシレス化されているのも特徴です。また真ん中のサッシはハーネスが収納できるようになりました。

また屋根構造が変更されていると同時に低床化に関連して側面窓の天地寸法が小さくなり雨樋の位置が下がったことで、少し厚屋根に見えるのも特徴です。




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