東京都交通局 大型車(未完成)

2000年度のG代CNGノンステップを皮切りに東京都交通局へ納入されるようになった西工製バスは、2008年度のS代までその数258両となり都内随所で見かける事ができるようになりました。これらは一部を除き年代ごとに仕様が変わっておりバライティーに富んでいます。

今回は現在も活躍する大型車に焦点を当てて紹介していこうと思います。


2003年度(L代) KL-UA452KAN改

富士重工のバスボデー撤退後に導入されることとなったため、自動的に西工製となりました。G代 H代 K代とRM JPといった中型で既に西工製バスは存在していたものの、大型車はこれが初となりました。

西工製にかぎらずL代の特徴として側面窓が大型の1枚窓を組み合わせたスタイルで、非常扉後方の窓を除きすべて開閉のできない固定窓になっています。 西工ではヒドンピラーを採用しており、他のメーカーよりも一段と窓が大きく見えます。

非公式側後方からの見た姿です。リア窓は1枚で、灯火配置は一般的な西工製KL-UAと同じです。中間に扉がない分大型の固定窓がよく目立ちます。

西工に限らずL代はすべて非常口後方の窓のみがサッシ式逆T窓で開閉できるようになっています。 西工では一般的なKL-UAと同じブロンズサッシの逆T字窓がついています。

フロントです。導入当初は幕式表示機でしたが2007年ごろに順次LEDに換装されました。

特注の部分が多い都営ですが、フロントは大きな銀杏と愛称板などを入れるホルダーが目立ちます。バンパーや灯火配置などはメーカー標準です。

非公式側前方から見た姿です。フロントガラスの左右にある手すりはあまり採用例がなく中々お目にかかれない代物ですが、都営ではS代まで継続的に採用されました。 ただし中型にはありません。この手摺がある代わりに前面表示機下の手すりが省略されています。

フロントオーバーハングです。L代では側面ガラスの下辺に太いモールがついているのが特徴です。なんの目的なのかは不明ですが、京都市交通局などでも見ることができます。運転席窓は標準サイズです。幕板の左右に側面を映すドライブレコーダーが設置されているため、屋根をまたがって左右にケーブルが通っています。スの右にある黒い物体がそうです。
その他屋根にはバスロケのアンテナなどがついています。


西工のL代ではなぜか車外スピーカーが二種類存在しています。ネプチューンのものとクラリオンのものがあり、それぞれ外見で識別することができます。

こちらはネプチューンのスピーカーをつけているものです。L743~L748が該当しますが少数派です。

こちらはクラリオンのスピーカーをつけています。L749~L109が該当します。こちらの方が数が多く容易に見ることができます。


L代はこの他にも少し変わったクルマが存在しています。

こちらは車椅子試験車と言われる、座席定員を減らし車椅子スペースを確保したものです。車内レイアウトが他車とは異なっており、通常定員70人(座31 立38)であるところをそれぞれ1人ずつ減らされ定員68人になっています。(車内未撮影) その関係か、側面のノンステップバス表示直下に車椅子車に関する案内表示が出されているため、外見で識別可能です。L748 L100の2台が該当しますが、先述の通りそれぞれスピーカーが異なっています。


余談ですが、都営ではG代を除きH代 K代のKL-JP252NAN改を含み戸袋窓が特注仕様になっています。

左側の窓は通常、車内側の窓とほぼ同じ大きさでサッシ式の窓が嵌められています。都営ではここを他の窓と高さを合わせるようにして接着窓が嵌められているのです。この方式は2005年に96MCの設計変更によって標準採用されるようになり、ADG-RAなどから他社でも採用されています。また、呉市交通局のCNG車など、一部では都営同様接着窓を採用する例がありました。


2005年度(N代) ADG-RA273KAN

次に西工が入ったのは2005年度のN代になりました。この年は既に排気ガス規制が代わり型式もADG-RAとなりました。同時に灯火規制などが新しくなり車体の設計も見直されているためL代とは大きくイメージが変わった仕上がりになりました。19両が納入されています。

K代以降デンソー製が採用されたクーラーはN代でサーモキング(旧ゼクセル)に戻っています。また、車体の設計が変更された関係で側面窓の天地寸法が変わり雨樋と窓の間に隙間ができるようになりました。その他、公式側に田の字型のスリッドが設けられたりミラースーての形状が若干変更になっているなど細かい変化が見られます。

非公式側後方からの姿です。リア窓は引き続き1枚窓を採用しています。灯火規制によりリアフラッシャーが変更となり、日産のマイクロバス「シビリアン」と同型のものが使われています。そのためリアが少しスッキリした印象となりました。

L代のKL-UAでは非常口後方の窓が開閉できるようになっていましたが、この部分は設計変更により、接着窓が標準となり開閉できなくなりました。これは西工側の設計変更によるもので、都営の仕様ではありません。N代以降すべてに該当します。

フロントです。 国交省標準仕様ノンステップバスに適合しているため、ステッカーが貼られています。 またL代と比較してみると銀杏の位置がほんの少し高くなっているようです。

灯火規制により灯火類の配置が変更になっており、フォグランプの隣にあるコーナリングランプが更に外側へ移動しました。また、フォグランプも透明のレンズに変わっています。これらの影響でバンパーの形状が若干変更となっています。

L代と並んだところを見ると銀杏の位置やバンパーの違いが分かりやすいと思います。

非公式側前方からみた姿です。灯火規制により、公式側も含め側面にリフレクターが付くようになりました。 設計変更によりフェンダーアーチの形状が変わっており、釣鐘型から真円型に変わっています。また、側面窓下辺についていたモールが廃止されています。

側面窓が黒のサッシ式逆T字窓に変わっていると同時に運転席窓のサッシが黒になっています。

側面窓最後部は公式側も接着窓に変わっており、加えて窓後ろについていたガーニッシュが廃止されています。 ADG-RAからはFLENDS(フレンズ)の採用により尿素SCRが使われています。その為軽油給油口とは別にAdBlue(尿素水)の給水口が設けられ、側面に蓋が1つ増えています。下段のバとスの間にある蓋がそれです。


2006年度(P代) PKG-RA274KAN

続く2006年度のP代では新長期規制に適合したメーカーのみという交通局の方針により一般車はCNGを除きすべて日デとなりました。そのため、突如として一大勢力となり都内随所で西工製バスを目にするようになりました。P523までは型式こそ違えど外見上はほぼ同一になります。113両が納入されました。

前年のN代と比較して外見上の仕様はほぼ同一です。強いていうならば標準仕様ノンステップバスが05NS適合になったため、ステッカーの色が青から緑に変わっていることが上げられます。

非公式側後方からみた姿です。こちらも前年のN代と比較してこれと言った変化はありません。

余談ですが、リア窓右側にある「世界No.1クリーンディーゼル」は当時の日産ディーゼルが世界で初めて実用化した尿素SCRを介した排気ガス浄化装置「FLENDS」をアピールするもので、これは当時世界一厳しいと言われた平成17年排出ガス規制を1年前倒しで適合させたADG-RA273系から搭載されているものです。

運転席まわりやバンパー周りも変化はありません。 


このP代は先述の通り一般車すべてが日産ディーゼルであることから都営バス各営業所に配置されています。当然青梅にも配置されているため、都区内車とは異なる多区間仕様車が存在しています。(撮影次第追加)

また、N代につづいてクーラーはサーモキングを継続採用していますが、P524~P533ではデンソー製に変更されています。(撮影次第追加)


2008年度(S代) PKG-RA274KAN

更に続く2008年度も一般車の大型はすべて日産ディーゼルになりました。(低公害車は日野 中型はいすゞ) S代ではP代末期から採用されたデンソー製のクーラーに変わった他、西工の仕様変更による違いが見られます。49両が納入されました。

大きな違いは全車がデンソー製クーラーとなったことです。また、仕様変更により扉の角にゴムがつけられるようになりました。

非公式側後方からの姿です。リアフラッシャーがシビリアンテールからゴールドキングのTSL-2Rに変わっています。また、ナンバー灯が横長のものから二灯式にものに変わっています。(分からづらいので後日画像を差替予定)

フロントです。みんくるには様々な柄がありますが、S代から青ベースだったものがベージュベースに変わりました。その他はP代と同じです。

パンパー周りです。 こちらも灯火規制に適合したN代から同一で、変化はありません。

西工製では表示板のホルダーは中型を除いて、一貫して緑枠の右側から引き抜くタイプを採用しています。

S代のもう1つの特徴として、運転席窓直後にある第二柱が少し太くなっていることが上げられます。理由は不明ですが、これは都営側の仕様変更であると思われます。(角度不良 後日差替) S代は青梅への配置はありませんでした。



如何でしたでしょうか?首都公営としてマニアからも人気の高い都営バスに在籍する西工製バスは現在も206両以上(2017年11月現在)が活躍しています。年代ごとに細かな違いのある都営バスの西工に少しでも興味を持って頂けたら幸いです。


(この記事は書きかけのため随時更新します。)

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